ザ・キラーズ『デイ&エイジ』
ザ・キラーズ『デイ&エイジ』 The Killers - Day & Age
SNOOZER #071 - 2009年2月号 194ページ 文:田中宗一郎
死ぬほどダッセー!!!--この言葉を、最大限の賛辞として、この起死回生の大傑作に贈りたい。
そもそも最初に誤解があったのだ。キラーズというバンドは、同時期、よく似たアイデアを携え、英国から登場したフランツ・ファーディナンドの洗練さ、知的さとは、まさに対極にあるバンドだった。どんなスーツを着ようが、ホテルのベルボーイにしか見えないベイビーフェイスのナード男をフロントに擁するこのバンドは、七五三の子供ほどはグラマラスでありこそすれ、決してクールなバンドなどではなかった。にもかかわらず、無様なまでにクールを気取ろうとするその姿が、その懸命さゆえに最高にキラキラと輝いていたのだ。つまり、彼らは2000年代のウィーザーだった。
この3rdアルバムは、血も涙もない言い方をするなら、アメリカという自らのルーツに回帰した2ndアルバムが、あろうことか自国の人々に受け入れられなかったことに落胆し、臆面もなく1stアルバムの路線に再び軌道修正した敗北宣言でもある。実際、大半のリリックは、自分が受け入れられなかったことに対する泣き言に溢れ、今とは別の場所に飛び出すことばかり歌っている。
見かけもやることも、すべてダサい。どれだけスチュアート・プライスの洗練されたスキルを借りようと、音もダサい。涙が出るほどダサい。だからこその大傑作。
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Human
Spaceman
A Dustland Fairytale
The World We Live In
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http://www.littlemore.co.jp/magazines/snoozer/issues/20090218125.html
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※改行を適度に入れてます、あとはそのまま
以上。