ザ・リバティーンズ『リバティーンズ革命』
ザ・リバティーンズ『リバティーンズ革命』 The Libertines - The Libertines
SNOOZER #045 - 2004年8月号 178ページ 文:田中宗一郎
最初聴いた時は、ただの粗大ごみにしか思えなかったのに、何度聴いても涙が溢れてくる。この作品をレヴューのどの枠で扱うべきか、とにかく迷った。この作品を通常の評価軸で計るなんて、とても無理。こんなにもパーソナルな音楽はない。聴けば聴くほど、自分がどれほどリバティーンズのことが好きでたまらないかを思い知らされる。
誰もが愛さずにはいられない超ダメ人間。そいつの影に隠れて、そのダメ人間っぷりを誰もが忘れつつある愛すべきダメ人間。他のメンバーのあまりの下手さに隠れて、そのシャープなドラムが少しも話題にならない敏腕ドラマー。他のメンバーがあまりにもキャラ立ちしすぎて、その下手くそっぷりを誰も話題にしないベーシスト。すべてありのままをテープに記録しようとするミック・ジョーンズのプロデュースは、それぞれの人格や関係性までパッケージしてしまっている。
へろへろでヨレヨレの演奏。尖りまくったサウンド。甘すぎるメロディ。これまでに起こったドラマがすべてフラッシュバックするかのような言葉。時にはぶつかり、時には支え合い、時にはすねたようにすれ違う二本のギター。だらしない幕切れ。交わされた昔の約束。決して消えない情熱。報われない愛。数々の夢のような思い出。
すべてが美しすぎて、すべてが悲しすぎる。これぞ、俺のリバティーンズ。
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Can't Stand Me Now
What Became Of The Likely Lads
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http://www.littlemore.co.jp/magazines/snoozer/issues/2004081893.html
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※改行だけはうんぬんかんぬん。
以上。