Double Tap Boo!

タナソーさんの文章を読まずに死ねるのか。アーカイブ!

クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ『No One Knows』

クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ『No One Knows』 Queens Of The Stone Age QOTSA

SNOOZER #035 - 2003年2月号 69ページ 文:田中宗一郎

 [2002] 40 BEST SINGLES ・・・ 26

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Queens Of The Stone Age - No One Knows

米国メインストリームを腐食し続けるラップ・メタルともバブルガム・パンクとも、何ら接点を持たずに、そのサーカスティック&ユーモラスな音楽性とアティチュードだけで、見事、成功を勝ち取った、ストーナー・キングの活躍を象徴する1曲。

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SNOOZER #035

http://www.littlemore.co.jp/magazines/snoozer/issues/2003021864.html

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以上。原文ママ

アークティック・モンキーズ『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』

アークティック・モンキーズ『Whatever People Say I Am, That's What I'm Not』 Arctic Monkeys

SNOOZER #054 - 2006年2月号 201ページ 文:田中宗一郎

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Arctic Monkeys - Whatever People Say I Am, That's What I'm Not

このアルバムが傑作なのは間違いない。総論についてはインタヴュー記事のリード文を読んでくれ。では何について書くべきか。それはどの曲が一番の名曲か、である。

だが、困った。どれも良すぎる。どの曲も、基本的な作りは、リフ主体の男臭いものなのにもかかわらず、あるポイントで、いきなりコードもメロディも甘くなることが憎い。しかも、レイ・ディヴィスからの伝統、3分間の短編映画というスタイルで描かれた物語がどれも憎い。でも、やっぱり一番は、通りで見かけた気になる女の子が、どこかの糞親父と援交してるんだか、売春させられているんだかを見て、でも、どうにも出来ない自分自身とその糞親父に激怒しまくる少年の心境を描いた ❝ホエン・ザ・サン・ゴーズ・ダウン❞ だろう。しかも、そこにスティングがポリス時代に書いた売春婦についての歌 ❝ロクサーヌ❞ の歌詞をさりげに引用しているのも憎い。「あいつら、『太陽が沈むと、この辺り、感じ変わるよね』とか言ってやがる」とマジ切れするリフレイン、最高。こういう青臭くて、シャイで、頑固な少年が主人公の、甘くて、苦い青春の物語が聴きたかった。

さあ、今すぐザ・フーの1stアルバム『マイ・ジェネレーション』なんて、捨てちまえ。君には、自分自身の世代の物語について語る権利がある。叫ぶ権利がある。

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I Bet You Look Good on the Dancefloor

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When the Sun Goes Down

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The View From The Afternoon

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SNOOZER #054

http://www.littlemore.co.jp/magazines/snoozer/issues/20060218108.html

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原文ママ

以上です。

 

The Isley Brothers「This Old Heart Of Mine (Is Weak For You)」

The Isley Brothers「This Old Heart Of Mine (Is Weak For You)」 アイズレー・ブラザーズ 1966

SNOOZER #069 - 2008年10月号 90ページ 文:田中宗一郎

 125 Wicked & Sweet LOVE SONGS 究極のラヴ・ソング・ランキング ・・・ 113

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The Isley Brothers - This Old Heart Of Mine (Is Weak For You)

♫ 惚れたら負け

愛することは、相手に徹底的にこちらの弱みをさらけ出すこと。たとえ、何度も裏切られ、傷付けられたとしても、ひざまづいて、降伏すること。だとすれば、どうしたって、愛することは、どうにも屈辱的でしかありえない。

「君が望めば、いつだって僕は君のモノ/そんな風に大声で叫んだって恥ずかしくなんかない/世界中にそう宣言したっていい」---だが、こんな風に絶唱するロナルド・アイズレーの声には悲壮感のカケラもない。つまり、そうした態度の先にしか、愛は存在しないことを、この<モータウン>時代におけるアイズレー唯一の大ヒット曲は伝えているのだ。ファンク・ブラザーズのウキウキするような最高の演奏に乗せて、愛することの素晴らしさをロナルド・アイズレーは全身全霊を込めて歌う。「何故なら、僕は君を愛しているから/この古ぼけた心は君に勝てないのさ」。負けたが、勝ち。

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SNOOZER #069

http://www.littlemore.co.jp/magazines/snoozer/issues/20081018123.html

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以上。

The La's「There She Goes」

The La's「There She Goes」 ザ・ラーズ - ゼア・シー・ゴーズ 1988
SNOOZER #069 - 2008年10月号 106ページ 文:田中宗一郎

 125 Wicked & Sweet LOVE SONGS 究極のラヴ・ソング・ランキング ・・・ 33

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The La's - The La's

♫ 消えたあの娘、消えない痛み

これはヘロインの歌なんかじゃない。愛する人を失った時の感覚。そして、その底なしの痛みがやがて恍惚としたカタルシスに包まれながら、甘美なノスタルジアへと姿を変えていく残酷な過程のすべてを100%表現することに成功した、不朽の名曲だ。

「また彼女が去っていく/今も頭を駆け巡る/どうにも抑えられない/この気持ちは消えない」---平易な言葉ながら、これ以外にはありえない完璧なライム。スモーキー・ロビンソンさえも凌駕する奇跡のようなシンプルなリリックによる見事なコーラスの繰り返し。この、コーラスとたった一度のブリッジでのみ構成された、ヴァースなしの構成も、ひたすら急き立てられる痛みのフィーリングを的確に表現することにさらに一役買っている。

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SNOOZER #069

http://www.littlemore.co.jp/magazines/snoozer/issues/20081018123.html

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以上。

The Who「I Can't Explain」

The Who「I Can't Explain」 ザ・フー - アイ・キャント・エクスプレイン 1965

SNOOZER #069 - 2008年10月号 102ページ 文:田中宗一郎

 125 Wicked & Sweet LOVE SONGS 究極のラヴ・ソング・ランキング ・・・ 53

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The Who - My Generation

♫ 好きなのにブルーな気分

「説明できないんだ」---恋に落ちた瞬間のフィーリングを、こんなにも端的に言い表した言葉を僕は知らない。キンクスの ❝オール・デイ・アンド・オール・オブ・ザ・ナイト❞ からかっぱらってきた軽快なギター・リフを12弦仕様のリッケンバッカー360が叩き出し、初めて恋に落ちた瞬間の少年の気持ち、どうしようもない混乱が描き出される。「最高の気分なのに/頭の中はもうめちゃくちゃ/どうにもブルーな気分になっちまうんだ」。恋はかくもかぐわしい香りを放つ甘美な受難。この初々しさ。また、この曲が果たした、「言葉では説明できないフィーリング」を歌うことは、未来永劫これから先もずっと続いていくポップ・ソングの役割でもある。

それにしても、こんなにも本質を射抜いた曲が、いまだ18歳だった少年が書いたバンドのデビュー曲だったという事実が、ザ・フーこそがロックンロールに選ばれたバンドだったことを図らずも証明している。

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SNOOZER #069

http://www.littlemore.co.jp/magazines/snoozer/issues/20081018123.html

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以上。

Pulp「Razzmataz」

Pulp「Razzmataz」 パルプ - ラズマタズ 1993

SNOOZER #069 - 2008年10月号 106ページ 文:田中宗一郎

 125 Wicked & Sweet LOVE SONGS 究極のラヴ・ソング・ランキング ・・・ 32

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Pulp - Intro: The Gift Recordings

♫ 俺と別れて不幸なんだろ?

ひとつの愛の終わりは、時として、かつてはあんなにも輝いていた恋人達をひたすら惨めで醜悪な場所へと突き落とす。自分を捨てたオンナに向かって、その後、無残に落ちぶれたオンナの今をあげつらう未練がましいオトコの語り口を使いながら、ジャーヴィス・コッカーは失われた愛の物語を克明に描き出す。

オンナの兄は母親と近親相姦、姉は間違って妊娠、今では本人はぶくぶくと太り、きらびやかな夜の街を徘徊し、性病や妊娠が不安で病院通い、もはや誰にも相手にされないほどに孤独。そして、オンナの悲惨な日常をヒステリックに並べ立てるオトコの罵詈雑言は、オトコの今がさらに救いようもないほどに惨めだということを見事にあぶり出す。「俺、早口すぎる? それとも馬鹿のふりしてんの? じゃあ、書き留めてあげようか?」「あの時、別れないでくれって言ったの、あれ、嘘だから」。ひたすら痛々しいまでに、失われた愛の大きさが浮かび上がる。

だが、そんな風に愛を失い、落ちぶれ、正気を失ったすべての人々を優しく抱きしめる視線にこそ、この曲の素晴らしさがある。いつだって惨めな日常の守護神であり続けたパルプだからこそ書きえた、珠玉の傑作。

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SNOOZER #069

http://www.littlemore.co.jp/magazines/snoozer/issues/20081018123.html

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以上。

RAZORLIGHT『SOMEWHERE ELSE』

RAZORLIGHT『SOMEWHERE ELSE』 レイザーライト - サムウェア・エルス

SNOOZER #051 - 2005年6月号 188ページ 文:田中宗一郎

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Razorlight - Somewhere Else

やはりジョニー・ボーレルという男は、かなり凄い。この全英第2位に輝いたニュー・シングルも、「どこか他の場所にいたい、我慢できない」と、激自己陶酔モードで歌っているだけ。しかもアレンジらしきアレンジもなし。味付け程度にピアノやストリングスも入っているが、正直これは金と労力の無駄遣い。基本はひたすらアコギを掻き鳴らすだけという、とにかく凄まじい曲である。何故これしきのテーマを、何のてらいもなく、こんなにも情熱的に歌えるのか、常人には理解しがたい。現在、無闇に感極まることにかけては右に出る者のいない、激情ナルシス大王としての面目躍如の大迷曲、もとい、大名曲だ。しかも、この馬鹿、エンディングでドラ鳴らしてるよ~(泣)。イギー・ウイルス感染者が、またここにも。最高です。

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Somewhere Else

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SNOOZER #051

http://www.littlemore.co.jp/magazines/snoozer/issues/20050618105.html

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以上。